50代目前のオンザ眉毛

無造作に伸びていた前髪を切りたくなりました。

思いきり短く。

似合うかどうかを改めて他人に訊いてみたことはありませんが、私の人生の半分くらいは短い前髪と共にありました。



自分の髪がずっと嫌いでした。
特に前髪。

クセ毛で変にうねっている。

生え方も変。
中央の妙な一束だけが、右に流れるでも左に流れるでもなく真下に伸びていきます。

生え際からふんわりと立ち上がったような前髪の人がうらやましかった。



小学生時代からずっと、美容師さんがカットしてくれた前髪に一度も満足したことがありませんでした。

なんで希望通りにしてもらえないのか疑問だったし不満でした。

わたしの髪質や生え方では、そうにしかならなかったのだと今ならわかります。



美容師さんのカットが不満だったから、自分で切るようになりました。

こうしてああしてと切っていくうちに、前髪は眉より上に。

小学生の図画工作の授業で描いた自画像は、オンザ眉毛でした。

卒業式のアルバムもオンザ眉毛でした。



40代半ばになって、ようやく希望通りの前髪を作ってくれる美容師さんに出会いました。

もしかしたら歳を重ねて、髪質が変わっただけかもしれません。
もしくは自分の髪質を受け入れる(あきらめる?)ようになっただけかもしれません。

それでももう不満に思うことはありません。

もう自分で調整して切る必要がなくなりました。
もう、いつの間にかオンザ眉毛になってしまったなんてことはなくなりました。

もうないはずなのに、あえてオンザ眉毛にしてもらいました。

結局・・・好きだったんだ。
短い前髪が。



もうすぐ50代。

周りの人は内心どう見ているかわかりません。
いい歳をして…と思うでしょうか。

いいんです。
私がそれが好きだから。

春。
短い前髪になって気分も軽やかです。